研究概要 |
1.目的 近年、紫外線による皮膚障害を防御する意識が高まり、日光堅ろう度に優れた紫外線カット繊維製品の新たな開発が望まれている。この現状下、ここでは、日光堅ろう度改善に優れた効果を有する紫外線カット材料の開発と生活環境材料への応用を目的として検討を行った。 2.実験 紫外線吸収剤HBT及びTHB、オレンジIは市販品を,ベンゾトリアゾリル基を有する紫外線カット剤は新規に合成した。染料の光退色挙動は前回と同様酢酸セルロースフィルムを作成して検討した。紫外線カット材料(1X10^<-3>mol/l)含有、厚さ60μmの酢酸セルロースフィルムは常法により作成し、T%測定後オーストラリア/ニュージランド共同規格(AZ/NZS4399:1996)の式よりUPFは求めた。 3.結果及び考察 酢酸セルロース上でのオレンジIの光退色は1hキセノンアーク灯を照射することにより、23%退色し、10hの光照射では、82%と殆ど退色するのに対し、HBTやTHB及び自動酸化防止剤(HP)の添加の系では、僅かな退色の抑制効果が見られるのみであり、市販紫外線カット剤混合系では僅かに優れた退色の抑制効果が見られた。またTHBへのモノベンゾトリアゾリル基導入紫外線カット剤およびジベンゾトリアゾリル誘導体の添加の系では顕著な抑制効果の向上は見られなかったが、ベンゾトリアゾリル基へのスルホン酸基の導入体では、1hの光照射で6%と無添加の系の1/4に退色を抑制し、10h照射時でも、その退色は41%と、無添加の系の1/2に抑制した。この事実は、ベンゾトリアゾリル基への置換基の導入が有効なことが示唆される。その為、各種置換基の導入効果を検討した。その結果、スルホン酸基の他にメチル基の導入は有効であったが、塩素置換体は不利に働いた。また、身体防護係数(UPF)に及ぼす置換基の効果も酢酸セルロースフィルム中で検討した。
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