研究概要 |
生活環境の様々な状況認識については,視覚機能がおよそ90%の情報を処理しており,生活環境色彩はコミュニケーション・メディアとして重要な役割を担っている.本研究は,生活環境色彩の視覚的作用と感覚的作用に関して,衣食住の具体的事例を対象とした実験解析ならびに検証を行い,日常の視覚生活における色彩快適性に寄与することを目的としている 研究最終年度は,衣生活,食生活,住生活の各領域におけるビジュアルインフォメーションに関する研究を補完し,生活環境における色彩快適性の総括を行った.料理の色彩分析や視覚的に美味しそうと感じる条件などについて検討した結果についてはAIC 2010 Interim Meetingで発表した.ここでは,料理の色彩を画素単位で測定するとともに,視線動向の分析に用いる刺激画像において,形による影響を除外する目的で料理が盛りつけられた写真画像をモザイク加工して実験に供した.その結果,人は料理の色彩構成が近似している場合は色が散在している盛り付けより境界が分かりやすい色で構成された料理のほうを美味しそうと感じる.一方,色彩を統一した盛り付けについては美味しそうと感じない.白や灰,茶などをベースカラーとし,アクセントカラーを効果的に配した料理の盛り付けが視覚的に美味しそうと感じるなどについて明らかにした 具体的生活環境色彩事例を対象とした本研究により,身につける色(衣環境),楽しく食べる色(食環境),身の回りの色(住環境)におけるビジュアルインフォメーションが,意味伝達ならびに快適性など,様々な生活シーンにおけるQOL向上に寄与していることを示唆した
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