本研究では、心臓ペースメーカー使用者のための電磁波遮蔽衣服の開発を行うとともに、電磁波の健康への影響を予防するための電磁波遮蔽衣服の設計に必要な疑似生体と着装シミュレーション実験方法の確立を目的としている。 電磁波遮蔽布の開発は進んでおり、すでに数社より電磁波OAエプロン等の衣服が発売されている。そのシールド性についても先行研究がある。しかしながら、電磁波遮蔽布のシールド性実験方法は統一されておらず、着装実験においても充填物のない空洞のボディや0.5%塩化ナトリウム液で満たした疑似生体が使用されている。それでは着装シミュレーション実験としては不十分であると考え本研究を行う。平成20年度は、(1)内容物を決定後、アクリル製のボディで疑似生体を試作し、受信アンテナの固定位置を決定した。(2)試作品を疑似生体に着装させて電磁波シールド性の実験を実施した。 平成21年度は、20年度に完成させた疑似生体を用いて追加実験を実施し、衣服の着丈を長くするべきであることを結論付けた。また、電磁波防護を唱っている商品の遮蔽効果について、疑似生体を用いた方法で検証を行った。平成21年6月、10月、平成22年3月に成果を学会にて報告した。 平成22年度は、ペースメーカーのリードを用いて遮蔽実験を実施し、ペースメーカー使用者のための電磁波遮蔽ベストを完成させる。
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