型紙系型染の研究は、型紙そのものの調査研究と、これによって染められた実作品の調査研究が両輪をなす。 最終年度に当たる平成22年度は平成20・21年度に引き続き、型紙の調査及び関連染織品の調査を中心に行なった。今年度行なった調査は、長崎による個人所蔵の型紙の調査及び撮影(平成22年12月20~22日)のほか、伊藤による近江上布伝統産業館での麻布型染染織品の見学、及び水口歴史民俗資料館での型染染織品調査(以上、平成22年度12月6~7日)である。また、型紙の現存遺品を購入し、型紙の種類・模様・時代判定等の分析に活用した。 データベース化に関わる作業としては、平成20年度に購入したパーソナル・コンピューター及びプリンター、データベース作成ソフト等を活用し、資料を整理後、適宜帳票形式で入力した。型紙の種類・模様・時代判定等の分析及びデータベース化を行った。 なお、植木も民俗学的な立場から型紙関連資料の収集に努め、型紙及び近世染織関連文献資料の一覧作成などを行った。 また最終年度の成果の一環としては、長崎が「染型紙の編年に関する試論(その1)」『共立女子大学家政学部紀要』57号(2011年1月・41~63頁)において、紀年銘墨書をもつ型紙について、墨書の信憑性と有用性を証明し、墨書による江戸時代の型紙の編年の一端を明らかにして、本課題の研究報告とした。
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