靴爪先の蒸れ感の解消のためには、靴爪先の換気を良くすることが重要であると言われている。しかし、靴爪先空気の換気回数を定量的に測定する装置がないために、蒸れ感の少ない靴開発に支障をきたしている。そこで、歩行時の靴爪先の換気回数を定量的に測定できる靴爪先換気回数測定装置の開発を行っている。 実験に使用した靴は、ウォーキングシューズ穴なし、ウォーキングシューズ穴有り、運動靴の3種類である。靴爪先換気回数測定装置は、靴爪先屈曲部、屈曲速度制御部、靴固定部および送風部より構成した。ヒトによる着用実験は、健常な成人女性を用いた。靴爪先換気回数の測定は、内田ら(繊消誌:47305(2006))の方法を用いた。 ウォーキングシューズ穴なしのヒト着用時の換気回数は93±5.2回/時、シミュレータ着用時の換気回数は88±10.5回/時、ウォーキングシューズ穴有りのヒト着用時の換気回数は205±4.4回/時、シミュレータ着用時の換気回数は216±27.3回/時、運動靴のヒト着用時の換気回数は322±15.2回/時、シミュレータ着用時の換気回数は315±16.2回/時であった。歩行時の運動靴の換気回数は、他の2種に比較して最も高値を示した。しかし、ウォーキングシューズの靴底に穴を開けることにより、靴爪先の換気回数は増加することが分かった。 以上より、試作した靴爪先換気回数測定装置は、換気の良い靴の開発に応用可能であることが示唆された。
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