靴の蒸れ感の解消のためには、靴の換気を良くすることが重要である。前年度までに靴換気回数測定装置の試作を継続して行ってきた。平成22年度は、試作した靴換気回数測定装置が快適な靴下の開発に応用できるか否かを検討した。検討した項目は、試作した靴換気回数測定装置を用いて測定した換気回数と、ヒトによる着用実験により測定した換気回数の比較、および靴・靴下実着用による温湿度の測定である。実験用靴下は、内側にパイルで溝を作り爪先部から足首まで空気の通り道を作った婦人用靴下(以下、ベンチレーション靴下と称する)と、対照として溝のない同編み立ての婦人用靴下(以下、ノーマル靴下と称する)を用いた。土踏まずにおける換気回数は、ベンチレーション靴下着用時の方が、ノーマル靴下着用時よりも有意に高値を示した。実着用時の湿度は、ベンチレーション靴下の方がノーマル靴下よりも有意に低値であった。温度については、有意な差は認められなかった。靴下のパイルの溝が、靴内の空気の換気を促進していることが試作した靴換気回数測定装置で実証することができた。 以上より、試作した靴換気回数測定装置が快適な靴下開発に応用できることが示唆された。
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