本年度は複合化のための基礎的データの収集を目的として研究を行った。即ち、異種繊維との複合化、複合化のためのスパンレース法における製造条件の影響、複合不織布の形態安定性の改善方法である。異種繊維との複合化では、環境に優しい竹繊維とレーヨンとの複合化を試み、レーヨンと竹繊維の混合比を変化させて複合不織布を試作し、その力学的特性、通気性、細孔径分布、吸水性、ドレープ性などについて測定した。その結果、竹繊維の混合によって大きな影響を受けるのは、引張強度、引裂強度、通気性、ドレープ性であった。この特徴を活かせる寝装用途で用いる場合、竹繊維の混合率を30〜50%程度にするのが適当であることも分かった。複合化における製造条件の影響では、スパンレース法による複合化の場合の高圧水流の圧力、ノズルの孔径、ノズルの挿入方向、ノズルの高さを変化させて複合不織布を試作し、その構造や物理的性質に及ぼす影響について調べた。その結果、不織布の引張特性には全ての要因が影響を及ぼし、吸水性に関しては高圧水流の圧力やノズルの孔径及び高さが影響し、ノズルから出る高圧水流の衝突面積や衝突エネルギを制御することが重要であることが分かった。また、製造条件の影響に関して保湿性を有する複合不織布の開発も試み、ケア・シート用として用いることの可能性を確かめた。複合不織布の形態安定性に関しては、通常の繊維や複合繊維を用いたスパンレース不織布とスパンボンド不織布を原料として用い、スパンレース/スパンボンド複合不織布を試作し、高圧水流の圧力やバギング試験条件を変化させて予備的研究を行った。複合構造を2層、3層と変化させたが、複合繊維を用いた3層の複合不織布で良好な結果が得られた。
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