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2009 年度 実績報告書

用途拡大を可能にする複合不織布の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20500678
研究機関京都女子大学

研究代表者

矢井田 修  京都女子大学, 家政学部, 教授 (50029352)

キーワード複合不織布 / バギング性 / スパンレース / 形態安定性 / 伸縮性複合不織布
研究概要

今年度は、外衣用不織布にとって必要である伸縮性を改善するために、捲縮レーヨンを用いた複合不織布を試作し、その細孔構造、力学的性質、吸水性等を調べるとともに、形態安定性の重要な因子であるバギング性について調べた。即ち、捲縮レーヨンと普通レーヨンとの混合比を変化させたウエブと、3種類のシート(綿スパンレース不織布、ポリエステルスパンボンド不織布とポリプロピレンスパンボンド不織布)を水流交絡法で複合化し、その複合不織布の構造や物理的性能について実験的に調べた。これらの実験により次のような結果が得られた。(1)引張試験の引張強度(タテ方向)では、ポリプロピレンシートで、ウェブとの混合比が等しい場合に、捲縮レーヨンを用いた方が引っ張り強くなった。また、引張伸度では、捲縮レーヨンとポリエステルシートを複合した方が伸びやすくなる可能性があると考えられる。(2)吸水性試験では、ほとんどの場合でレーヨンの方が、吸水率が高い結果となった。ポリプロピレンと複合化した場合、ウェブの混合比が大きい試料ほど吸水率が高くなった。これは、吸水性に関して、レーヨンが主導的な役割を果たしていることを意味し、特に複合相手がポリプロピレンかポリエステルの場合に顕著であることを示している。(4)細孔径分布試験では、捲縮レーヨンの試料において、孔径が大きくなる傾向が見られた。これは、通気性の結果とも関連している。また、複合相手のシート別に見ると、ポリエステルシートを用いた試料は、孔径が非常に小さく密であり、従って通気度も低い値になったと考えられる。(5)ドレープ試験では、捲縮の有無による大きな差は見られなかった。しかし、ウェブの混合比の小さい試料においてはドレープ係数が大きく、硬い試料であることが分かった。(6)バギング試験では、IG値(瞬間残留変形値),ID値(残留変形値)ともに、ポリプロピレンシートを複合した試料において、ウェブの混合率が少ないほど変形値が小さくなった。以上の事から、複合不織布を作成するにあたって、複合化するシートの性質によって、複合不織布の物理的特性が大きく影響され、複合化においては何と複合化するか、また、その混合の適切な割合の決定が捲縮レーヨンの特性を生かすために重要であることが分かった。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 保湿複合不織布の基礎的研究2009

    • 著者名/発表者名
      矢井田修、岩田侑子、山田奈々、大目木幸子、
    • 雑誌名

      生活造形 54巻

      ページ: 43,50

  • [雑誌論文] スパンレース法におけるノズル条件が不織布の性質に及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      澤村淳二、田村愛理、矢井田修
    • 雑誌名

      高知県立紙産業技術センター報告 14巻

      ページ: 21,39

  • [雑誌論文] Development of Japanese nonwovens industry and technical trend2009

    • 著者名/発表者名
      Osamu Yaida
    • 雑誌名

      Proceedings of Seminar on Technical Textiles Symposium

      ページ: 18,46

    • 査読あり
  • [学会発表] 保湿性を有するケアシートの開発2009

    • 著者名/発表者名
      矢井田修、鈴木慎司、澤村淳二
    • 学会等名
      日本家政学会関西支部第31回研究発表会
    • 年月日
      20090000
  • [学会発表] 複合不織布のバギング性に及ぼす二次圧やバギング試験条件の影響2009

    • 著者名/発表者名
      矢井田修
    • 学会等名
      日本繊維製品消費科学会2009年年次大会
    • 発表場所
      京都女子大学
    • 年月日
      2009-06-14
  • [学会発表] 竹繊維不織布の開発2009

    • 著者名/発表者名
      矢井田修、外浦菜結、眞柴結
    • 学会等名
      日本繊維製品消費科学会2009年年次大会
    • 発表場所
      京都女子大学
    • 年月日
      2009-06-13
  • [学会発表] スパンレース法におけるノズル条件が不織布の性質に及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      矢井田修
    • 学会等名
      日本繊維機械学会第62回年次大会
    • 発表場所
      大阪科学技術センター
    • 年月日
      2009-05-21
  • [学会発表] Development of Japanese nonwovens industry and technical trend2009

    • 著者名/発表者名
      Osamu Yaida
    • 学会等名
      Seminar on Technical Textiles Symposium
    • 発表場所
      Seoul Textile Center
    • 年月日
      2009-04-28
  • [図書] 不織布の基礎知識(第7版)2009

    • 著者名/発表者名
      西川文子良、日向明、土谷英夫、矢井田修(編著)
    • 総ページ数
      98 5,24
    • 出版者
      日本不織布協会
  • [図書] タイムスインタビューズ2009-有識者に聞く2009

    • 著者名/発表者名
      天田忠生、安藤忠雄、井本勝、金井宏彰、矢井田修, 他(共著)
    • 総ページ数
      365 334,336
    • 出版者
      紙業タイムス社
  • [図書] 不織布産業この50年2009

    • 著者名/発表者名
      金井宏彰、石川英二、近石尚樹、渡辺憲一、三浦照雄、矢井田修, 他(共著)
    • 総ページ数
      246 44,50
    • 出版者
      日本不織布協会
  • [図書] 紙・不織布・フィルム加工ガイド2010-市場と技術2009

    • 著者名/発表者名
      尾鍋史彦、矢井田修、竹内政実、野本明、小林良生, 他(共著)
    • 総ページ数
      232 43,46
    • 出版者
      テックタイムス社

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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