沖縄県は国内でも唯一、亜熱帯に属する地理的特性に加えて、かつては琉球王国として独立していた歴史的背景がある。琉球王国時代の約500年間に、中国、東南アジアとの交易、第二次世界大戦後は米国統治等により外来文化を受容し、それらを混在あるいは融合させながら独自の食文化を形成してきた。そのため、沖縄の食生活の変遷や食文化は日本本土とは異質のものもみられ、学校現場では地域の実態に沿った授業展開が必要だと思われる。 そこで本研究では、沖縄の伝承されてきた食素材や調理法、料理の変遷を時代区分ごとに分類する。さらに県内の古老を中心に聴き取り調査を実施しながらデータベースを作成し、沖縄の食文化に関する地域の実態に沿った指導内容の検討、授業で活用できる資料や教材を作成する事を目的としている。 平成20年度は、次の2点について、基礎資料の収集およびデータベースの作成に取り組んだ。 1.沖縄の伝承されてきた食材、調理法、料理に関する基礎資料の整理として、『琉球史料』、『冊封使録』『御膳本草』等の文献・史料を分析しながら記載に沿ってデータベースを作成中である。 2.沖縄における屋取集落の基礎的調査 本研究の目的を達成するために、本調査を実施する前の予備調査が重要である。第二次大戦前より伝承されてきた食材や料理等を正確に聴き取るためには、調査地域の食生活の変遷を把握するとともに話者の選定が重要になる。初年度は調査地域の基礎資料作成のために、『沖縄懸史』、『各市町村史』を中心に、屋取集落の実態と現状の把握、また民俗学的な視点から、沖縄の食生活の変遷について文献等を中心に整理した。
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