本研究は、沖縄の食文化に関する地域の実態に沿った指導内容の検討、授業で活用できる資料や教材を作成する事を目的としている。平成20年に告示された『中学校学習指導要領』教科「技術・家庭科」の家庭分野には、新たに「日常食の調理と地域の食文化」の項目が掲げられ、その内容には地域の食材を生かすなどの調理を通して、地域の食文化について理解させるよう指導する事が明記された。また、平成21年告示『高等学校学習指導要領家庭』共通教科としての家庭科の科目「家庭総合」「生活デザイン」にも、「食文化」に関する内容は現行の学習指導要領より充実したものとなった。 家庭科教育における「地域」「食文化」に関する内容がより重視されている状況を踏まえ、平成22年度は、昨年度に引き続き沖縄の伝承されてきた食材、調理法、料理に関する実地調査、伝承されてきた料理の復元等を行い、教材化に向けた資料の収集およびデータベース等を作成した。これらの基礎資料は平成23年度に予定されている沖縄県内の教員を対象とした講習会等で活用し、評価を行う。 また、沖縄の屋取集落に関するフィールドワークでは、調査地域の古老を対象に聞き取り調査を実施した。市町村史等の記録とも比較検討し、第二次世界大戦以前は、屋取・地元集落の食形態では日常・行事の食に差異がみられるものもあったが、戦後は軍用地の強制徴収等もあり、屋取集落の廃絶、都市化、その他にも食生活の多様化・外部化傾向といった様々な要因から、食に関する事柄に関して現在では、画一化傾向にあるものと推察した。
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