本課題の目的は、多糖類ハイドロコロイドの二次機能、三次機能について、加工食品におけるテクスチャー改善としての働き、消化吸収への影響についての検討である。 本年度は、多糖類ハイドロコロイドとして、メタボリックシンドロームの予防効果をもつ優れた機能性食品素材であるコンニャクグルコマンナン(KGM)を取り上げ、分離大豆タンパク質(SPI)のパンクレアチン酵素による分解に及ぼす影響を動的粘弾性測定から検討した。 その結果、SPI単独系はパンクレアチン酵素によって分解され、SPIにKGMを混合するとその酵素反応が遅延することが示された。しかし、KGM濃度が低く、ゼロずり速度における比粘度が10mPa・s〜30mPa・sの範囲ではその遅延効果に差が認められなかった。SPIにおけるパンクレアチン酵素作用は、KGMが低濃度である場合、粘度だけの要素で遅延効果に影響を与えるのではないことが示唆された。そこで、次にKGMの分子量の影響を調べる目的で、デンプンに分子量の異なるKGMを混合し、デンプンの物性への影響を検討し、分子量の高いKGMの方がデンプンの離水を抑えるテクスチャー改善の働きを認めた。さらに、分子量の異なるグアーガム(GG)を用いて分離大豆タンパク質(SPI)の酵素分解に及ぼす影響について検討し、GGの分子量が小さく濃度の高い方が、分子量が大きく濃度の低い方より、GGの鎖状分子が多く含まれるため、分解がゆっくり進むことを推察した。消化酵素による変化をBCA assayによりペプチド量の定量を行い、SPIが酵素により分解され、低分子化していることを示した。
|