本課題の目的は、多糖類ハイドロコロイドの二次機能、三次機能について、混合食品における食感改善の働きと消化吸収への影響についての検討である。今年度は、多糖類ハイドロコロイドとして、血糖値上昇抑制機能をもっ優れた機能性食品であるコンニャクグルコマンナン(KGM)を取り上げ、コーンスターチ(CS)澱粉の物性への影響とパンクレアチン酵素による分解に及ぼす影響を検討した。先行研究において、KGMの混合によりCS澱粉の老化を遅延させる効果があることを見出しており、本研究では、3種のKGMを用いて分子量の大きさ(約15000、約100万、約100万~200万)に注目した。その結果、CS澱粉の糊化においてはKGM混合の影響が少ないこと、長期間貯蔵によって起こるCSの老化を分子量がある程度以上、本研究では100万以上のKGMを混合することで抑制すること、老化したCS澱粉の酵素分解は、分子量100万以上のKGMを混合したものにより遅延する傾向があることを見出した。老化は澱粉を構成する粒子の秩序構造の再形成の過程であり、分子量100万以上のKGMを混合した場合では、KGM鎖状分子がからまり、CSの澱粉を構成する粒子の秩序化を阻害し澱粉の老化を抑制することと澱粉が酵素により分解されることを妨げることが推察された。また、CS-KGM0.1%混合ゲルより、CS-KGM0.5%混合ゲルの方がCS単独ゲルとの差が明らかであることから、KGMの混合濃度が高い方が影響の大きいことが推察された。さらに、寒天ゲルのKGM混合の影響について検討した。本研究において混合食品への影響を明らかにすることにより、多糖類ハイドロコロイドを食品加工への使用する機会が増加し、通常の生活では不足しがちな難消化性多糖類Mを容易に摂取できることが期待される。
|