研究概要 |
プディングは全卵・牛乳・砂糖が材料であるが,現在では全卵や牛乳の一部または全てを卵黄や生クリームに置換したプディングが多く販売されている。このプディングは上層と下層に分かれており食感が異なっている。本研究ではこのことが卵黄と生クリームに起因すると推察し,上層と下層の脂質成分量の測定およびレオロジー測定を行った。プディングの調製は生クリーム,牛乳,卵黄,砂糖により,生クリームと牛乳を1:1とした。卵黄は生クリーム重量の40%,12%とし,また比較のため卵白を40%含むものも作製した。脂質抽出後,脂肪量,リン脂質中リン量,コレステロールを測定した。粒度分布は0.1%SDSあるいは水を分散系として超音波処理前後で行った。さらに,静的粘弾性測定(流動曲線),動的粘弾性混定(応力依存,周波数依存)をコーンプレート1°(φ35mm)を用いて行った。上層と下層の脂質分布は,脂肪量,脂肪酸組成,リン脂質リン量の差が小さい一方,コレステロールは下層に多かった。卵黄配合では卵白配合と比較して超音波処理前の粒子径が大きく,処理後に小さくなった。また,下層より上層で粒子径が大きかった。卵黄配合量が少ない場合は粒子径は小さかった。動的粘弾性測定では,卵黄配合と卵白配合は上層と下層ともに見かけの粘度〓に差は認められなかった。しかし応力依存測定では卵白配合と比較して卵黄配合のG'とG"の値およびそれらの差が大きく線形領域も広かった。また,卵黄配合が多いとG'とG"が逆転するτは大きくなった。周波数依存測定では,卵黄の量によりG'とG"の差が大きくなり,ゲル的になることが確認された。以上のことから卵黄は上層および下層の構造形成に複雑に関与していると示された。現在,低速での冷却遠心により,プディングの上層では脂肪およびコレステロールとリン脂質中リンが異なる分布をしていることを確認しており,21年度計画と並行して検討する予定である。
|