高齢者の口腔内状態を把握するための検査食の開発を目的として、寒天ゲル及びデンプンゲルの調製を試みた。寒天ゲルについては寒天濃度の異なるゲルを再現性よく調製することが出来た。 しかし、デンプンゲル検査食については手作りであったため、わずかに再現性に乏しくこの解決が課題であった。そこで、食品工業的に餅のような食感のゲルの調製を考え、業者に依頼した。これを冷凍保存し、必要に応じて一定時間蒸し加熱することで、再現性のある物性の検査食が出来ることがわかった。 この検査食を用いて、少数の高齢者と若年者で、咀嚼してもらい、測定することを検討した。その結果、15秒間咀嚼してもらい、それを吐き出してもらうこととした。1辺が15cm、高さ約2cmのシャーレをアクリル板でつくり、シャーレに吐き出した寒天あるいはデンプンゲル試料をひろげ、デジタルカメラで撮影することとした。このとき、光が反射しないように、また、はきだした小片が重ならないように注意深く竹串でひろげるなど、測定条件を検討した。撮影した写真の画像解析により、粒度分布を測定することで、高齢者と若年者の口腔内状態が把握できた。最終的に若年者52名、高齢者76名の協力を得た。 ストラスブールのシニアハウス2カ所を訪問し、当該施設で提供される1週間のメニューをしらべた。さらにストラスブールに住む高齢者の食生活の聞き取りを行なった。
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