テクスチャーの官能評価において、「かたさ」「サクサク感」など評価項目に用いる用語は重要な役割を担う。このとき、テクスチャー用語が体系的に整理されていれば用語選定や定義づけは効率的である。そこで本課題では、すでに収集した日本語テクスチャー用語445語を用いて、食物からも用語からも検索できる官能評価に有効なデータベースを作成することを目的とした。今年度はデータベースに搭載する食物名を決定し、それらの食物に関するデータを得た。 1)データベースに搭載する食物の決定 食品の官能評価分野の研究者および技術者への面接調査を実施したところ、データベースに搭載する食物品目数は、実用性の観点から、昨年度選定した68品目では少ないことが示唆された。そこで、21年度に実施したアンケート結果を再解析し、さらに文献調査を追加した。その結果、82品目を追加し、150品目をデータベースに搭載することとした。 2)質問紙調査および官能評価による食物を描写する用語の収集 訓練された官能評価パネリスト16名に対して、上記の150品目のうち100品目について、各食物を描写する可能性のあるテクスチャー用語を収集した。描写する用語の種類が多い食物は、うどん(139語)、白飯(132語)等で、用語数が少ないのは牛乳(16語)、切干大根(19語)等であった。150品目の中から、フランスパン、クッキー、マヨネーズ、ラッキョウ等、テクスチャーに特徴のある数品目を取り上げて、それぞれ市販品を用いて官能評価を行い、収集した描写用語の妥当性を確認することができた。さらに、パン、ラッキョウ等いくつかの食物については、機器測定を行い、物性値を得た。
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