研究概要 |
循環器系や代謝系の生活習慣病は、食事に起因するものが多く、今後ますます深刻な事態になることが懸念される。健康を維持できるだけの食生活管理能力、とりわけ食事量の管理能力が求められている。生活習慣病の増加にストップをかけるために生涯を通じた食育プログラムの整備と食事量の管理が欠かせない。食育基本法のもとで、現在「食事バランスガイド」が提唱され、「何をどれだけ食べればいいか」の教育が推進されている。1日分を料理ベースで「サーブ単位」で点数化して示されており優れた提案である。しかしまだ周知度は低く、実際の活用率も低いままである。そこで本研究では、(1)手のひら法と食事バランスガイドによる食事調査を実施し、データを比較し、手のひら量とサーブ(SV)とを関連させ、換算方法を提案した。(2)手のひら法による主食、主菜、副菜管理を和食のお膳「1飯1汁2菜膳」と関連させ、両手椀、片手椀で量を表し、食事量管理をより容易に誰にでもわかる提示法を提案した。食事バランスガイドと手のひら法は、主食1食分2SV=両手椀1、副菜1食分2SV=両手椀1、主菜1食分1.5SV=片手椀1で換算し、1食分量を提示した。(3)野菜など副菜は調理による容積変化が著しいので調理変化の基礎データを得た。葉菜類の容積変化について生と煮物の容積換算率を1/3とし、その他の根菜類は1,肉魚などの主菜は1とした。(4)そのために体重管理と手のひら法を組み合わせて食事量を管理することを提案した。3ヶ月間にわたって20名の学生について手のひら法で食事記録と管理をしたところ、適正体重を維持できた。手のひら法は秤量法食事調査より手間がかからず、食生活の点検と是正に役立つことがわかった。
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