研究課題/領域番号 |
20500709
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
片岡 佳子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (40189303)
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研究分担者 |
有持 秀喜 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30311822)
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キーワード | 食生活 / 腸内菌 / アレルギー / アトピー性皮膚炎 / Terminal-restriction fragment length polymorphism法 / 腸管透過性テスト / IgA / 有機酸 |
研究概要 |
食生活とアトピー性皮膚炎等アレルギー症状の有無の関連を調査するため、「食生活が腸管の健康とアレルギー発症に及ぼす影響についての臨床研究」(徳島大学附属病院倫理審査委員会により承認済み)への被験者を募集し、同意取得できた4名の被験者について、(1)アトピー性皮膚炎の重症度の診断、(2)自然排泄便の提供、(3)食生活調査票への回答、(4)腸管の透過性テストを1~3セット行った。食物摂取頻度調査の結果、食生活の内容は一般健康成人とほぼ同じであった。今回の糞便の解析結果を以前に収集した健常人および潰瘍性大腸炎患者の結果と比較してみたところ、糞便中の総菌数、Enterobacteriaceaeや好気性グラム陽性球菌の生菌数には健常人との間で有意差はなかった。 Terminal-Restriction Fragment Length Polymorphism(T-RFLP)法により解析したアトピー患者の腸内菌叢のパターンをBionumericsによりクラスタリングすると、健常人とも潰瘍性大腸炎患者とも異なるクラスターを形成したので、菌叢は異なっていると考えられる。T-RFピーク数は、健常人よりも多く、潰瘍性大腸炎のような菌叢の多様性の減少は見られなかった。糞便中の短鎖脂肪酸の濃度には有意差はなかった。腸管の透過性の指標として測定した尿中排泄されたlactulose/mannitolの比は既報中の健康人の値と同程度であった。糞便中のs IgA濃度は192.3~12721.2μg/gであった。これらの解析結果と被験者の皮膚炎スコアのマッチングを現在行っている。菌叢解析の結果および症状スコアをもとにMICROBIOTA PROFILERによる菌種検索を行い、アトピー患者に特徴的な腸内菌あるいは腸内環境があるのかどうかをさらに検討する予定である。ヒトの便中菌叢は非常に個体差が大きく菌叢の違いとアレルギー発症の関連を結びつけるのは困難であるので、今後は動物モデルを用いた検討が必要と考える。
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