研究課題/領域番号 |
20500709
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
片岡 佳子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (40189303)
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研究分担者 |
有持 秀華 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30311822)
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キーワード | 食生活 / 腸内菌 / アレルギー / アトピー性皮膚炎 / 短鎖脂肪酸 / 酷酸 |
研究概要 |
今年度はまずアトピー性皮膚炎(AD)モデル(NC/JicJclマウスにダニ抗原エキスを塗布)を用い、飼料中の食物繊維の増量による症状の抑制効果を検討したが、ダニ抗原による皮膚炎の誘導が非常に強く、食物繊維による皮膚炎スコアの改善および血清中.IgE濃度の抑制は見られなかった。ADや食物アレルギー患者では腸管のバリア機能が低下しているとの報告がある一方、腸内菌による食物繊維の発酵代謝により生成する短鎖脂肪酸、特に酪酸は大腸上皮細胞の増殖、分化を促進し、腸管バリア機能を高める作用が報告されている.そとで腸内菌のうちどの菌種穫が腸内環境を良好に保つ上で重要であるのかを明らかにするため、無菌マウスにマウス腸管内から分離した主要構成菌を定着させ、腸管組織の観察と盲腸内の短鎖脂肪酸の定量を行った。ICRマウスの盲腸内容物から嫌気培養により種々の腸内菌を分離し、主要分離菌のうち7種類の菌を16Sribosomal RNA遺伝子のシークエンスの相同性に基づき、Bacteroides属、Porphyromonadaceae科、Alistipes属、lactobacillus属、Anaerotruncus属、Lachnospiraceae科と同定した。最優勢菌のうちClostridium属およびその近縁菌種は高度酸素感受性であるため今回はわずかしか分離できなかった。これらの分離菌を無菌マウスに胃内投与して3週間以上ビニルアイソレータ内で飼育後、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸を定量したところ短鎖脂肪酸は生成していたが、SPFマウス糞便を投与した場合に比べて酪酸が少なかった。腸管組織の形態をHE染色により観察したところ、SPF糞便を投与した無菌マウスではSPFマウスと同様になっていたが、分離菌を投与した無菌マウスではSPFマウスとは異なっていた。以上の結果から、腸内環境が良好に保たれるためには、Clostridium属および近縁菌種の存在とその酪酸産生活性が重要である可能性が示唆された。
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