研究課題/領域番号 |
20500713
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
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研究分担者 |
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30453202)
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キーワード | 12 / 15-リポキシゲナーゼ / アラキドン酸 / 酸化LDL / 動脈硬化 / グアバポリフェノール / グアバ葉 |
研究概要 |
アテローム性動脈硬化の危険因子の一つとして知られる低比重リポタンパク(LDL)は、酸化LDLとなってはじめてマクロファージ上に存在するスカベンジャー受容体に認識されるようになり動脈硬化原性を発揮する。このLDLの酸化に関わっているのが、マクロファージに高いレベルで発現している12/15-リポキシゲナーゼと呼ばれる酵素である。すなわち、本酵素の働きを抑制すればLDLの酸化は抑制され、動脈硬化は予防できると考えられ、実際にこのことは本酵素のノックアウトマウスを使った実験で確認されている。申請者らは昨年度の本計画でグアバ葉中に見出されるこの12/15-リポキシゲナーゼの阻害活性について検討し、その阻害様式と阻害の酵素特異性を明らかにした。また、実際にグアバ葉抽出物をアポEノックアウトマウス投与し、非投与群と比べ動脈硬化の進行が有意に抑制されていることを確認した。本年度は12/15-リポキシゲナーゼ過剰発現マウスマクロファージ様細胞を用いて、LDLの本細胞による酸化が抑制されるかどうかを調べたところ、本酵素を阻害する濃度のグアバ葉抽出物の添加によりLDLの酸化は抑制された。この効果は細胞を予めグアバ葉抽出物で2時間処理しておき、その後細胞を洗浄してからLDLを添加しても認められたことから、グアバ葉抽出物はLDLの自動酸化を抑制するいわゆる抗酸化剤として働いているのではないことが確認された。しかしながら、昨年度の研究でグアバ葉抽出物中に含まれる12/15-リポキシゲナーゼ阻害活性をもつ物質の一つとして検討したケルセチンは、本酵素を阻害する濃度では細胞によりLDLの酸化を抑制しなかった。また、グアバ葉抽出物による本酵素の阻害活性はケルセチンでは10%程度しか説明できず、グアバ葉抽出物中には、ケルセチン以外のLDL酸化を抑制する成分が含まれている可能性が示唆された。
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