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2010 年度 実績報告書

糖尿病の予防・改善における水素の効果

研究課題

研究課題/領域番号 20500723
研究機関日本医科大学

研究代表者

上村 尚美  日本医科大学, 老人病研究所, 講師 (60283800)

キーワード糖尿病 / 酸化ストレス / 抗酸化剤
研究概要

当研究室では、これまでの研究により、水素ガスが抗酸化物質として優れており、モデル動物において脳や肝臓の急性酸化ストレス障害を軽減することを見いだした(Nature Medicine 13,688,2007)。酸化ストレスは、糖尿病を誘発する原因のひとつと考えられている。また、糖尿病を発症すると酸化ストレスがさらに増加し、腎症や網膜症等の合併症を引き起こすことが知られている。従って、糖尿病の予防や改善に水素が有効であることが期待されていた。本研究は、(1)水素により改善される糖尿病の種類、投与開始時期や症状の解明、(2)他の抗酸化物質や食事療法との比較、(3)分子レベルでの作用機序の解明を目的とした3年間(平成20年度~22年度)の研究課題である。平成22年度以前に行った研究結果より、水素は、2型糖尿病モデルマウス(db/db)で効果があることが明らかとなった。発症前(6週齢)から水素を継続投与した場合、水素投与群では、体重増加が抑制され、血糖値や血中の中性脂肪濃度の増加も抑えられることがわかった。さらに、脂肪肝を改善し、肝臓での酸化ストレスレベルを抑制することが明らかとなった。その効果は、80%に食餌量を制限した場合と同等であった。22年度は、解剖所見より肝臓の状態がよいこと、さらに、水素水を摂取した場合肝臓に最も多く取り込まれることから、肝臓で発現し、かつ、血糖値と脂質代謝を調節する因子であるFGF21の変化を調べた。その結果、18週齢において、水素投与群では対照投与群に比べFGF21の発現量が有意に高いことがわかった。以上の結果より、2型糖尿病モデルマウスにおいて、水素分子を長期間投与することにより肝臓でのFGF21の発現量が増加し、その結果、血糖値が低下し肥満が改善される可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular Hydrogen Improves Obesity and Diabetes by Inducing Hepatic FGF21 and Stimulating Energy Metabolism in db/db Mice2011

    • 著者名/発表者名
      Naomi Kamimura
    • 雑誌名

      Obesity

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 肝臓における水素分子の動態とその効果2011

    • 著者名/発表者名
      上村尚美
    • 学会等名
      分子状水素医学シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-02-18
  • [学会発表] Molecular hydrogen improves obesity and diabetes by inducing FGF21 through reducing oxidative stress in db/db mice.2010

    • 著者名/発表者名
      Naomi Kamimura
    • 学会等名
      7th ASMRM (Asian symposium of Mitochondrial Research and Medicine) and 10th J-mit (Japanese Mitochondrial Research and Medicine)
    • 発表場所
      Fukuoka
    • 年月日
      2010-12-16
  • [学会発表] 水素分子は、肝臓グリコーゲン中に蓄積し、糖尿病モデルマウスの症状を改善する2010

    • 著者名/発表者名
      上村尚美
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2010-12-07
  • [学会発表] 新規細胞死抑制タンパク質を用いたミトコンドリア機能保護というまったく新しいアプローチによる精子保存技術の開発2010

    • 著者名/発表者名
      西園啓文
    • 学会等名
      第103回 日本繁殖生物学会大会
    • 発表場所
      青森
    • 年月日
      2010-09-04
  • [学会発表] 細胞導入型細胞死抑制タンパク質PTD-FNKによる精子凍結保存2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤佑一朗
    • 学会等名
      第19回 日本Cell Death学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2010-07-31
  • [備考]

    • URL

      http://home.nms.ac.jp/ig/saiboseibutsu/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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