ビタミンEの一種であるγ-トコフェロールとγ-トコトリエノールは体内で代謝を受けた後、γ-カルボキシエチルヒドロキシクロマン体(γ-CEHC)となって尿中に排泄される。このγ-CEHCは代謝物でありながら、ナトリウム利尿性ホルモン様物質として生理活性を持つことが知られている。以前、このようなビタミンE同族体を高食塩食負荷したラットに投与すると体内でγ-CEHC体に代謝されることで、体内の過剰なナトリウムを尿中へ排泄する(プロドラッグ作用)ことを明らかにした。そこで、組織中のCEHC体の測定法を確立することで、体内でのγ-CEHC体の産生とプロドラッグ作用についてさらなる検討を行った。その結果、γ-トコフェロールよりもγ-トコトリエノールの方がより多くγ-CEHCになることが明らかになり、さらにこのプロドラッグ作用には作用を示すある一定の作用域(高食塩負荷量とビタミンEの投与量)が存在することが明らかとなった。
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