本年度は、ゴマ加工品に含まれる機能性成分(セサミン・セサモリン)の定量の結果および官能検査の結果をもとに、おいしさを追求し機能性を高める加工方法について検討を進めた。ゴマ加工品としてゴマプリンを取り上げ、含有するゴマ量の感じ方や嗜好性に対する、(1)ゴマペーストと擂りゴマの配分の違いによる影響、(2)擂りゴマの擂り条件の違いによる影響、(3)色の違いによる影響、(4)ゴマ表皮水抽出物を添加したときの影響などを検討した。(1)(2)に関して、ペーストだけよりも擂りゴマを添加したほうが、また擂り状態は荒いほうがゴマ含有量を多く感じる結果となるが、食感としては滑らかなほうが好まれ、擂りゴマを添加することで付与される苦みも影響して総合的にはペーストと細かく擂ったゴマの混合プリンが高い評価を得た。(3)(4)に関しては、色が濃いほどゴマ含有量は多く感じられ、ゴマ表皮水抽出物を添加すると、色も濃くなり苦味が増すことからゴマ含有量は多く感じられる結果となった。嗜好性としては、苦みを好む者にとってはゴマ表皮水抽出物を添加したものが好まれたが、添加しないものとの間に有意な差は見られなかった。 このゴマ表皮水抽出物の添加は、嗜好性への影響だけでなく、ゴマプリンの機能性を高める効果も期待できるため、その機能性評価を行った。白炒りゴマ、黒炒りゴマ、黒生ゴマのそれぞれ表皮水抽出物を試料として、DPPHラジカル消去活性を測定したところ、5mg/mlの濃度ではいずれも200μMのトロロックスと同等かそれ以上の強い活性を示した。ゴマプリンへの添加量として同等の濃度では苦みが強すぎる結果となったが、1mg/mlの濃度でも100μMのトロロックスと同等の活性を示し、ゴマプリンへの添加は機能性を高めることにつながることが示唆された。また、本助成により購入したフリーラジカル分析装置を用いて、同じくゴマ表皮水抽出物についてOXY吸着テストを測定した結果、高い抗酸化能を示し、機能性を高めた加工品創製への基礎データを得ることができた。
|