研究課題/領域番号 |
20500729
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
吉田 香 京都光華女子大学, 人間科学部, 准教授 (10336787)
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研究分担者 |
川添 禎浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00224783)
寺本 敬子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70047356)
北村 真理 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (40369666)
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キーワード | 微量元素 / サプリメント / アルミニウム / マンガン / 神経障害 / 行動毒性 |
研究概要 |
微量元素が不足すると欠乏症状が生じ、体調に異変が生じる。しかし、これらの元素を過剰摂取すると健康被害を起こすことも知られている。この欠乏症が現れる量と過剰症が現れる量の間が狭いのが微量元素の特徴である。近年、人々の健康への関心が高まり、種々のサプリメントを常用する人が増えている。食品とサプリメントを合わせて摂取することにより、食品のみから摂る場合には注意する必要のなかった栄養素の過剰摂取が起こる可能性があり、長期間のサプリメント摂取により老人性神経障害が起こる危険性も考えられる。そこで、本研究ではサプリメント中に含まれる老人性神経障害に関与する疑いのあるアルミニウム(Al)、マンガン(Mn)などの微量元素量を調べた。さらに、AlおよびMnの長期にわたる過剰摂取が神経系に及ぼす影響をマウスによる行動試験や生化学臨床検査により調べた。その結果、植物や動物などの天然原料由来のサプリメントで微量元素量が高いものが多かった。特に、野菜、ウコン、田七人参などを原料にして製造されたサプリメントでAlおよびMn量が高いものがあった。サプリメントの多種類常用摂取による微量元素の過剰摂取に注意する必要がある。マウスを用いた回転カゴによる行動試験では、対照群に比べて、Al投与群で活動量の低下が認められた。Mn投与群では、変動幅が大きかったものの長期間投与で活動量の低下が観察された。ただし、AlとMnの組み合わせ投与による相乗効果は認められず、単独投与群とほぼ同じ活動量の低下であった。以上の結果より、AlおよびMnの長期曝露は動物行動の低下を引きこすことが示唆された。一方、生化学臨床検査の結果よりマウスへのAlおよびMn投与による腎毒性や肝毒性は認められなかった。
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