研究概要 |
本年度は昨年度実施したスクリーニング結果に基づき,アリル炭化水素受容体(AhR)活性が特に高かったエビスグサ種子抽出物,オオバコ葉抽出物,ウイキョウ抽出物について,含有する天然AhR活性成分を精査する目的で各抽出物の分画物を調製し,レポータージーンアッセイ(ケイラックスアッセイ)を指標にAhR活性成分の探索を行った.まず各抽出物について,n-ヘキサン,酢酸エチルで順次分画し,得られた分画物のAhR活性を評価した.その結果,いずれも酢酸エチルエキスに2,3,7,8,-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)と比較すると10,000-1,000,000倍の濃度で,同等のAhR活性が認められた.エビスグサ種子抽出物の酢酸エチルエキスについて含有成分を精査したところ,obtusifolinなどのアントラキノンの含有が示唆された。オオバコ葉抽出物からは,plantamajosideなどのフェニルエタノイド配糖体,ウイキョウ抽出物からは,syringinなどの含有が認められた.一方で,機能性食品や生薬に含有する主要成分30種を選択し,同様にAhR活性を評価した.その結果,生薬ゴシュユの主要成分でインドールアルカロイドevodiamine,ハマボウフウなどに含まれるフラノクマリンimperatorinに顕著なAhR活性が認められた.その一方で,これまで本アッセイ系で活性を示す化合物群としてイソフラボンをあげているが,カッコンなどに含まれるイソフラボンpuerarinはAhR活性をほとんど示さなかった.現在,活性画分のその他マイナー成分も含めた成分精査についてさらに検討を進めており,多くの天然AhR活性成分に関する情報を集積し,機能性食品の安全性評価プローブとしての可能性を考察する予定である.
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