研究課題/領域番号 |
20500734
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
中野 修治 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (40164248)
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研究分担者 |
宮崎 瞳 中村学園大学, 栄養科学部, 助教 (60412558)
小野 美咲 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (10441726)
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キーワード | 乳がん / クルクミン / ゲニステイン(大豆イソフラボン) / 乳がん細胞受容体状態 / 乳がん一次予防 / 症例対照研究 / 食事調査 / 植物性脂質 |
研究概要 |
1.クルクミンによる乳がん細胞増殖抑制効果の検討 ER/PRおよびHer2の発現の異なる5種の乳がん細胞パネルにクルクミンを添加し、増殖抑制を検討した。クルクミンはホルモン受容体やHer2の発現に関係なく細胞の増殖阻害効果を発揮した。またクルクミンはpoly (ADP-ribose) polymerase蛋白の断裂を認め、アポトーシスを誘導することがわかった。現在細胞内シグナル伝達蛋白のMAP kinase下流のERKおよびPI-3K下流のAktとmTORの活性を検討している。 2.EMS誘発性乳がんモデルラットを用いたゲニステインの乳がん予防効果パイロット実験 大豆イソフラボンであるゲニステインを、EMS誘発性乳がんモデルラットに経口投与し、その発症速度および細胞のホルモンステイタスにより乳がん予防効果の検討を行った。ゲニステインは低・中・高の三段階に投与濃度を分け、摂取量による発症差異をみた。実験匹数が少ないため、統計上は発症速度に有意な差はなかったが、中・高濃度群は低濃度群と比較して発症が早い傾向にあった。また、免疫組織染色により受容体発現を確認したところ、すべて発症した乳がん細胞はER、PR陰性であった。通常のEMS誘発性乳がんではER陽性乳がんが形成されることから、ゲニステインはエストロゲン受容体に拮抗しホルモン依存性の乳がんの形成を妨げたのではないかと考える。現在、実験匹数を増やし、本実験を実行中である。 3.乳がん発症に関与する食事性因子の検討 閉経後乳がん患者を対象に食物摂取頻度調査を行った結果、乳がん患者において有意に総食事摂取量、エネルギー摂取量ともに多く(ともにp<0.001)油脂(p<0.001)および植物性脂質(p=0.018)の過剰摂取は有意に乳がんリスクを高め、今回の対象者において閉経後乳癌の発症には油脂および植物性脂質の過剰摂取量が関係していることが明らかになった(第69回日本癌学会)。今後同対象者において、植物性脂質の脂肪酸組成を把握するための2期調査をおこなう。
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