食事制限者にとって災害時は、健常人向けの保存食や栄養表示のない弁当類などの救援食のみになる現状では、食事制限を維持するのが困難である。このように、食事制限者は災害弱者となり、症状の悪化が問題となっている。今回、慢性腎臓病などのタンパク質制限者向けアルファ米飯と糖尿病などのエネルギー制限、特に食後血糖値の上昇が穏やかな低グリセミックインデックス(GI)アルファ米飯開発について検討した。 農水省によって育種された新形質米の中で、消化されやすいタンパク質であるグルテリン含量が少なく、食べても消化されないタンパク質であるプロラミン含量の多い米品種である春陽を原料として、アルファ米化の検討を行った。食べた場合、消化吸収されるタンパク質量が少なく、容易に食べることのできるアルファ化米が試作できた。 また、新形質米品種の中で、澱粉中のアミロース含量が高い高アミロース米品種で、新潟県で作付け可能な3品種を試験栽培し、収穫された米に湿熱処理と部分糊化老化処理を行った。湿熱処理は乾燥した米に0.3MPa程度の蒸気処理をすることで、糊化度を上昇させずに澱粉の性質を改変する処理である。また、部分糊化老化処理は、通常炊飯条件の吸水率より低水分吸水させた米を蒸煮し50%程度の糊化度として、すぐに冷却することによって老化させる処理である。これらの処理米は、難消化性澱粉含量、食物繊維含量、in vitroでの消化速度を検討した結果、これらの高アミロース米に処理を行うことによって、低GI化することができることを確認した。
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