高アミロース米3品種(夢十色、北陸207号、新潟79号)を栽培し、糊化老化処理と湿熱処理条件の検討を行った。その結果、3品種の中から、栽培特性や成分分析値から北陸207号を選択した。未処理、通常の炊飯時の吸水率より低水分吸水させた米を蒸煮し50%程度の糊化度に糊化後、冷却することによって老化する処理である糊化老化処理、乾燥状態で0.25MPaの蒸気を直接導入した後、速やかに大気圧に戻し糊化度を上昇させずに澱粉の性質を改変する処理である湿熱処理試料を調製し、未処理コシヒカリを対照としてラットに投与して脂質代謝を中心に検討した。北陸207号は、粒形や千粒重がコシヒカリと差がなく、アミロース含量が多く、総食物繊維含量(TDF)は差がないが難消化性澱粉含量(RS)が高く、アミラーゼ消化速度が遅かった。また、糊化老化処理を行うと、TDFとRS含量が増加し消化速度が低下したが、湿熱処理ではTDFのみが増加し、消化速度は低下した動物投与試験では、脂質代謝には顕著な変化がなかった。コシヒカリに比べ北陸207号では、飼料摂取量減少、体重の増加、糞重量の増加、糞水分の増加、盲腸内容物重量の増加、盲腸酪酸mol比増加が認められた。また、未処理のコシヒカリと北陸207号間に差がなかったが、糊化老化処理と湿熱処理北陸207号は、糞中デンプン排泄が増加した。両加工処理をした北陸207号の消化速度が遅く、その一部はグルコースではなく、盲腸内発酵代謝産物である短鎖脂肪酸として吸収されること、さらにその一部は消化発酵されずに糞中に排泄されることがわかった。
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