技術者倫理教育の事例研究において二つの分野で研究を行ってきた。第1の分野は、事例研究の収集とそれに基づくデータベース化の構築である。国内で市販されている教科書や資料などの収集を行った。その成果に基づいて、本年度は共著で事例研究の副読本を作成した(A5版、75ページ10章)。またデータベース化に当たっては、マルチメディアオサーリングツールソフトを作成し、このソフトは事例研究を取り扱えるデータベースにも適することが実験の結果確かめられた。またこのソフトは、素人でも簡単に操作可能であることからフリーウエアとして大学のみならず多くの教員に活用してもらうべきさらなる改良をおこなっている。これらの成果は来年度の学会に発表する予定である。 第2の研究内容は、事例研究の因果関係解析ツールの開発である。グラフ理論とISM法を活用し、事例のキーワードを入力することで事例の因果関係が階層構造的に構築できることを示した。今回はJava言語を使用して解析ツールの開発に取りかかった。その結果、3次元グラフの提示が可能となり、一段と見やすい可視化が可能となった。Java言語を活用することで、いかなるコンピュータ上でも使用できるようになった。チャレンジャー号事件などの事例をもとに実験をしてみたが、この有効性がわかった。今回の学会でこの成果を報告した。今後は、より使いやすい教材を目指すとともに、多くの事例に有効かどうかの検討を行うつもりである。
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