今年度においては、研究代表者および連携研究者は、メール等で意見の交換を行い、地方の連携研究者とは個別にリスーピアの視察と研究会を数回行った。その結果、各地に博物館を作ることが効果的であることを再確認した。また、問題点として、パナソニックのような企業の後援を得るのは難しいので国がバックアップすべきだが、現状では難しい。 よって、これは追求しつつも、コストを減らし、研究者・学生のヴォランティアを得ることが重要である。そのために、(1)リスーピアのコンテンツを無料ないしは格安で使うこと、(2)少子化で空いた旧校舎の使用、(3)自治体の理解(鳥取サイエンスワールドの例)を得ることなどの方策が挙げられた。(1)に関しては、館長から前向きの反応が得られているが、この研究グループもコンテンツ案を出すことで協力すれば、より一層この関係が強化されるであろう。いくつかのコンテンツの候補を検討している。(2)、(3)は、これからも、取り組んでいきたい。 また「理数離れを防ぐ、そろばん・和算を援用した算数・数学教育の開発」の成果の取り込みについては、関孝和の没後300年記念懸賞問題などを提供し、大きくマスコミ等でも取り上げられた。リスーピアのコンテンツとワークショップの中にも油分け算が取り入れられた。ただ、地方の博物館にこのコンテンッを利用するためには若干の改良が必要になる。この点と別のコンテンツの開発についてはこれからも研究を続けていきたい。 さらに代表者と連携研究者は、ワークショップの研究も兼ねて、小から高まで10以上の「出前授業」を行った。これは、文科省「その道の達人」事業とも連携し、小学生向きワークショップのいくつか試作品も試した。なお、これらの成果も含めて、5月23日にパナソニックセンターで、「『分数ができたい大学生」から10年のシンポジウムが行われることになっている。
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