研究概要 |
「ものづくり」の事例を用いた導入授業の実践 黒板上で表現できない空間図形の提示には実体模型が有効であることを、授業実践を通じて確認した。すなわち、各学生の机をxy平面とし、垂直にz軸を立てた3次元空間で、木製のスティックと板を用いて、直線と平面を表示し、これらを空間中に固定することを、各自が試してみる体験は、空間ベクトルを実体のある物体として認識し、学習し始めるのに有効であった。 学生答案の変化の分析 従来は白紙の多かった学生の演習・試験答案(記述式)に、数式変形だけでなく、図、文章による説明が加わる傾向があった。 3次元空間図形とベクトル方程式を相互に変換する演習の構築 2種類のソフトウエア環境(Cabri 3D, Mathematica)を用いて、ベクトル方程式と仮想空間上の3次元図形を結びつける演習を作成した。Cabri3Dを用いた演習はWebシステムとして実装、学習者が画面上で直接図形を変形した結果をベクトル方程式として表示する。この環境では、仮想空間中の図形を学習者が直接操作できるため現実感が増すが、学習ポイントの伝え方が教科書の説明に近くなるという課題があった。そこで、学習項目をメニューにより選択しやすくする画面の改良を行った。Mathematicaを用いた演習は単体システムとして実装した。学習者が画面上のスライダを変化させると、図形が変形すると同時にベクトル方程式の係数が変化する。仮想空間内の図形を学習者が直接操作することはできないが、学習ポイントの提示法は直観的であり、学習者に理解されやすい。
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