研究概要 |
「ものづくり」の事例を用いた導入授業の実践 実体模型を用いた空間図形の導入後に、3Dグラフィックスを用いた空間図形の操作体験が有効であることを、授業実践を通じて確認した。また、これらの活動の導入段階では、学生に3次元ベクトル学習の有用性を示すべく、3次元ベクトルを用いた仮想ゲームを用いることも、有効ではないかとの感触を得ている。 学習到達度試験で測定した変化の分析 3Dグラフィックスを用いた空間図形の学習を行った学生が受験した平成22年度の学習到着度試験の「空間ベクトルと行列」部門の平均得点は、そのような学習を未経験の平成21年度以前の学生に比べて、顕著に上昇した。昨年度報告した、学生答案の質的な変化(白紙の多かった学生の演習・試験答案(記述式)に、数式変形だけでなく、図、文章による説明が加わる傾向)と連動しており、有意味学習の効果ではないかと考えている。平成23年度の学習到着度試験でも、再度有効性を検証したい。 Webシステムを用いた進度別個別学習の実践 平成21年度に作成した2種類のソフトウエア環境(Cabri 3D,Mathematica)を用いて、ベクトル方程式と仮想空間上の3次元図形を結びつける学習を、低進度学生を対象に実施した。学習者を2名一組にし、二人で相談、検討しながらコンピュータ画面に向かわせることで、学習が活性化されるとの印象を得た。すなわち、インタラクティブなスクリーン上のコンテンツを学生一人一人に操作させるよりも、学生同士の相談、会話を喚起することが、より有益な利用方法のようである。
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