本研究は、学習者に批判的思考の元となる"評価基準を設定して結果を検証する"方法論を修得させ、研究代表者が学習者の計画・評価能力を定量的に計測する手法を確立することによって、教育の質を向上させるシステムを構築することを目的とする。平成21年度は、計画・評価能力の評価基準の概念構築を主たる狙いとし、以下の6項目を実施した。1. 計画能力の育成手法の構築:各計画立案者が計画立案テシプレート(模擬授業のシラバス)を共有して学習グループ間で相互評価する手法を開発した。2. 評価用標準試料の第二次試作、および評価基準の信頼度の導出:学習者が評価基準を設定して観察事象を検証しうるかどうかを判定できる手法を開発した。3. 評価基準の設定方法の構築:計画立案プロセスの視覚化によって、評価能力測定のための演習の難易度を調整できる評価基準設定方法の開発を行った。4. 修正模擬授業の計画立案、および実施:上記1に関連し、後期開設の授業の中で、受講生による計画立案と相互評価のシステムを実現した。5. モデルカリキュラムの概念設計:上記2に関連し、多様な情報を計画立案の枠組みで再構築させる手法を設計し、受講生数約120人のオムニバス形式授業において部分適用を行った。当該手法の適用範囲について有益な知見が得られた。6. 学会発表等の成果発信(情報収集のための出張を含む):工学教育の国際学会において途中成果の口頭発表を行った。
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