研究概要 |
本研究は、FDの質的転換、すなわち従来の教示技術志向のFDから学習技術志向のFDへの転換を企図している。従って、学習者に批判的思考の元となる"評価基準を設定して結果を検証する"方法論を修得させ、研究代表者が学習者の計画・評価能力を定量的に計測する手法を確立することによって、教育の質を向上させるシステムを構築することを目的とする。平成22年度は、計画・評価能力の評価基準の概念構築を主たる狙いとし、以下を実施した。(1)モデルカリキュラムの計画立案:平成21年度で得られた知見を元に、多様な情報を計画立案の枠組みで再構築させる手法を発展させ、平成22年度開講の授業への適用を計画した。(2)モデルカリキュラムの実施:上記(1)の計画を受講生数約70人のオムニバス形式の授業において実施した。(3)評価能力の評価手法の検証・確立:上記(2)において、受講生が予め示された評価基準を適用して多様な情報を再構築したかどうか、その学習効果を評価する手法を開発した。本知見を発展させて、授業アンケートに学生の評価能力を測定するための設問を盛り込み、学習技術志向のFDに繋がる新授業アンケートの全学的試行を実現した。新授業アンケートから得られたのべ26,000人分のデータの分析から、学生の学習姿勢と学習理解度の2つの自己評価項目における相関モデルを採用することによって、他者評価(授業評価)能力を定量化できる見通しが得られた。(4)成果発信;新授業アンケートの概念設計について、大学教育研究年報第16号に論文を投稿し、掲載された。
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