研究課題/領域番号 |
20500781
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
谷口 和成 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90319377)
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研究分担者 |
岡本 正志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70149558)
高橋 尚志 香川大学, 教育学部, 准教授 (80325307)
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キーワード | 科学的認知能力 / CASEプロジェクト / 理科カリキュラム / 形式的思考操作 / 小中大連携 |
研究概要 |
本研究は、小学校高学年以降に理科(科学)をはじめとする諸教科の中で児童・生徒が学習内容を理解し自力で考察をする際に必要とする形式的(抽象的)思考操作を行う能力を全体的に伸ばすことに焦点を当てたカリキュラムと授業プランの研究を、小学校・中学校教員と教員養成学部の大学教員の継続的な共同研究によって、理論的および実践的に行おうとするものである。具体的には英国で顕著な成果を挙げているCASE(Cognitive Acceleration through Science Education:科学教育による認知促進)プロジェクトを理論的・実践的に詳細に検討しながら、日本の学習環境で利用可能な教材ならびにその効果の検証方法を作り出すことを目指している。 本年は、このプログラムを理論的・実践的な側面から総合的に検証するために、複数の大学および現職教員で構成する研究会を組織し、以下の事柄を中心に、形式的思考操作を積極的に育てる日本の理科カリキュラムとその授業案の集団的・実践的検討を行った。(1)児童・生徒の認知能力を測定する調査問題『Science Reasoning Tasks(SRTs)』の妥当性・信頼性の検証と同問題を用いた日本の児童・生徒の認知能力レベルの年齢分布と英国の分布との比較。(2)CASEプログラムの理論的骨格及びその教材『Thinking Science』の目的、構成、方法等の詳細な検討。(3)研究会所属の複数の現職教員による、プログラム全体を網羅する継続的な授業実践。上記(1)、(2)に関して、SRTsのひとつTASK II「体積と重さ」をいくつかの協力校で試行した結果、児童・生徒の認知レベル分布は、英国とはかなり異なる分布にあることを示唆する結果を得た。また、課題の妥当性についても「思考操作段階を正しく測定できていないと考えられる問いがある」、「問いの文脈の親しみやすさに差がある」など、日本において活用するにはいくつかの問題があることがわかった。(3)については、京都、岡山の中学校にて年間を通して実践され、現在、その成果と課題の分析中である。
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