本研究では、持続可能な社会をめざす自然体験型環境教育に関して、先進的な取り組みをしているドイツの環境教育を取り上げ、1)持続可能な社会をめざす自然体験型環境教育の構想、並びに、2)具体的なプログラムや実践モデル、さらにそれらを支援し具体化するための、3)指導者養成カリキュラム、について明らかにしつつある。連邦制をとり16州から構成されるドイツにおいて、持続可能な社会をめざす自然体験型環境教育に関して、まず連邦レベルで明らかにし、本年度は、州レベルにおいても具体的に明らかにしてきた。その際、関連の資料、報告書、論文等にみられる環境教育に関する、具体的なプログラムや実践モデルなども追試し検討を加えている。さらに、ドイツ・キール大学附設自然科学教育研究所での1年間の客員研究員時代に築いたネットワークを活かして、ドイツ人研究者を招聘し、日本における学校での環境教育や自然体験型環境教育の実体験を踏まえた後に、ドイツの自然体験型環境教育と比較しながら、具体的にレビューを受け、討論することができた。次年度は、持続可能な社会をめざす自然体験型環境教育の実践的研究に関して、残りの州を取り上げて文献による調査・研究をすすめ、並びに具体的にそこで取り組まれている体験的な活動や実験法を追試し検討を加えていく計画である。ドイツ各州の学校における環境教育に関して、その構想のみならずそれらを支援するためのさまざまなプログラムや具体的な取り組みに焦点を当てて論考することは、これまでの研究を一層深化させることになると確信している。
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