本研究の目的は、高専数学教育の「標準的スタンダード」を研究し、さらにその定着方法についても研究することである。 ・8月に研究者全員による全体会議を行い、当該年度の研究基本方針、具体的な作業分担を決定した。 ・最終目標の一つとして学生用「学習の手引き書」の発行があるが、学生の自習環境を整備する必要があり、学生用演習教材を出版・発行することした。本研究者以外にも多数の高専数学教員が参加し、執筆した。この教材は2009年2月に「基礎数学」として電気書院から出版された。(このドリル・演習は「微分積分」、「線形代数」としてシリーズ化し、今後も引き続き出版していく予定であり、発行者は学会教材グループとした。) ・研究代表者は各共同研究員を適宜訪問し、研究の進捗状況について協議した。 ・日本数学教育学会全国大会高専・大学部会(8月、福島県)において、スタンダードの素案と基本的な理念を示し、出席者と協議・情報交換を行った。 ・研究代表者はダマスカス(シリア)で、高等応用科学大学(HAIAST)およびダマスカス大学による特別講演(90分、JICA支援)を行い、参加者と数学教育について協議・情報交換をし、資料収集を行った(12月)。 ・これまでの国内数学教育学会誌に掲載された文献から、「思考を中心とした数学教育の工夫」について調査した結果、高専数学教育へのヒントを得ることができた。 ・全国高専数学教室あてに、「現在抱えている数学教育上の問題点」及び「それへの対応策」についてアンケート調査を実施した(11月から3月)。(この結果は未整理である。) ・高専機構実施の「高専3年次学習到達度試験」の問題作成の在り方について、新旧出題委員(本研究の共同研究者のほぼ全員)の会合をもち、協議した。
|