研究概要 |
本年度は、まず、学習と動機づけを促進する教授方略の開発における基礎的な研究を行った。動機づけと学習を促進するという観点から、学習方略を取り上げ、学習動機づけとの関連について、質問紙による調査の結果をまとめた。ここでの結果から、教科によって動機づけと学習方略との関連が異なった様相を見せることが見いだされた。たとえば、英語においては利用価値がマクロ理解方略を予測するという結果が見られ、数学においては社会的環境がミクロ理解方略を予測するという結果がみられた。そして、教授方略の開発を行う際には、これらを考慮することが重要であることが示唆された。 本年度はまた、学習と動機づけを促進する教授方略の開発について、試行的な検討を行った。まず、教授方略として、共同での問題解決を導入したものを取り上げ、そこでの動機づけ的な変化について検討を行った。その結果、他者との協力行動が軸となりながら、動機づけが変化していく様相が見いだされた。 そして、教授方略として、Maehr & Midgley(1991)によるTARGET構造の下位次元である(1)課題(Task),(2)権限(Authority),(3)グルーピング(Grouping),(4)評価(Evaluation)を取り入れたものを実践し、その効果について検討を行った。その結果、授業における概念変化とともに、「科学的手続きの重視」といった学習観の変化や「プランニング」などのメタ認知的学習方略の変化が見いだされた。
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