昨今の子供たちの数学ばなれの問題を解決する手立てを考えることは目下の急務の一つであると考え、魅力ある算数・数学用教材の開発に取り組んだ。応募者らは数理に基づく工学用の折り紙モデルや動植物の形態を模擬した折り紙モデルを数多く開発し、これらの研究で定式化した折りたたみの基礎理論とこれに基づき設計された膨大なモデルの蓄積を基本に、エデュテインメント性に富む折り紙教材を開発した。具体例としては、螺旋型の折り畳みモデルがあげられる。定式化された角度の関係式を満たすように角度を自由に選択することで折り畳み帽子、フラワーポット、花などができる。幼稚園の先生を対象に講演会、および実技を行ったところ、面白い、簡単なものについては子供たちと一緒に作りたいなどの意見が寄せられた。また、新潟県の自然科学館で春休みのイベントとして折紙と工学をメインテーマとする展示会開催の依頼があった。巨大円形膜の巻き取りや折り畳み円筒の進展収縮に興味を示す子供が多く、魅力ある教材として広めていくのに十分な手ごたえを得た。さらに、数学教育学会でソーラーセールや宇宙構造物に利用できる巨大円形膜の折り畳みや朝顔の折り畳みに関する発表したところ、中学、高校の現場の先生や大学の教育学部の先生から、大いに期待できる題材だ、作り方をぜひ教えてほしいという声が寄せられた。所期の目的である「面白くて驚きを与えられるような」教材開発については十分手ごたえが得られたと、考える。さらに、開発を進め、普及を図ることで、数学の面白さを広める強力な教材となることを確信している。
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