研究概要 |
研究全体の目的は,中国語声調の発声の自習のためのインタネットを利用したComputer-Assisted Instruction(CAI)システムを設計・試作し、学生の試用結果を分析して学習効果を評価することである。平成22年度の研究成果は以下の通りである. 1.CAIシステムの設計・試作(役割分担は研究代表者比企静雄):音声の音響分析のソフトウェアを使って,多数の学生の声調の発声サンプルを参照して,短時間にピッチ抽出をし,学生の声域を推定してCAI教師の音声をそれに適合させるように変換するための,実用的なプログラムを試作した.とくにピッチ抽出法については,声の高さが異常に低い第3声を確実に抽出できるように,学生の声域との関係を考慮して改良を重ねた. 2.教材音声の録音・編集(研究分担者楊立明):教師の音声の個々の発声について,聴覚的提示と視覚的表示のための適否を詳細に吟味し,録音を繰り返して,教材の品質を高める手順を確立した.ピッチ図形の作成については,各声調の特徴を学生が把握しやすいように,対数尺度で表示して40ミリ秒の移動平均で曲線を平滑処理するなど、とくに,この研究で提案している標準パタンとの対応を高めるように配慮した. 3.学習効果の解析・評価(研究分担者砂岡和子):学生の声調の発声を評価する基準を作成するために,本研究課題ですでに収集してあった学生の声調の発声のデータを,さらに多面的に解析した.とくに,日本人学生の声調の発声の欠陥について,声調の聴取と発声との関係にも注目しながら,その傾向を系統的に調べた. これらの各項目で得られた結果から,すでに公開されている声調聴取の自習のためのCAIシステムと合わせて活用できるような声調発声自習CAIシステムの原型が,目的の通りに働くことが確かめられた.
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