本研究は、できるだけ実物に近い立体を短時間で造形する装置「2.5次元立体ディスプレイ」を開発し、ものづくり教育における「もの」の構造や機能を学ぶ学習方法や教材を制作するとともに、その効果を明らかにしていくことを目的としている。平成20年度における研究成果は以下のとおりである。 (1)40×40ロッドの2.5次元立体ディスプレイのプロトタイプ製作をした。当初10×10であったが、本製作に近い設計に変更した。ロッドの部分の機構設計、材料選択、加工方法の研究では、多くの部品を高精度、軽量、低価格そして、短時間で製作するために、部品の材質、構造、加工法について様々な検討を行い、より良い方法を考案できた。 ロッドの高さ制御用平面板を駆動する機構は製作する予定であったが、市販の重量物昇降装置を使用することにした。これは地元中小企業が開発したもので、地域産業界との交流にも寄与できた。 (2)装置のアクチュエータを駆動するためのインタフェースは、当初のソレノイド駆動からラジオコントロール用サーボモータ駆動に変更した。この変更により消費電力を50分の1程度に減らすと共に騒音も低減することができた。また、この方法は同時に多くのサーボモータをコントロールする、多関節ロボット制御等へ応用可能な技術となった。 (3)研究内容や制御技術について工業高校の教員に紹介することができた。 なお、平成20年度は研究の初年度であり本製作へ向けての基礎研究が中心であった。そのため、年度内に学会などでの成果発表ができなかったが、平成21年度開催の学会には論文を投稿できた。
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