研究概要 |
本研究では,プロジェクタを使用した講義では画面が切り替わったときに,黒板を使った講義では教員が板書したときに,学生の書き写しや注視が発生することに着目して,画面切り替えや板書と学生の動きの相関を調べることで,学生の講義に対する集中度を評価するシステムを開発している. プロジェクタを使った講義に対する判定システムは.21年度までに一通り作成できたので,22年度には,板書のタイミングを検出するプログラムを作成した.このプログラムでは,黒板を5秒おきに撮影した画像を処理して,文字が書き加えられている時間区間を抽出する.時刻や天候による部屋の照度変化に頑強にするため,平均値シフト法で黒板の色(濃緑色)と教師の衣服の色の境界を強調してから閾値処理して,教師領域を求めている.そして,教師以外の部分で輝度エッジを求め,エッジで囲まれた領域をラベル付けして分割することで,板書された文字を抽出している.これにより,照度が大きく変わっても安定して板書行動を検出できる.さらに,教員の身体により隠された部分に書かれた文字を前後の画像から推定して復元する.こうして求めた文字領域の時間差分を求め,5秒間に1文字に相当する大きさの領域が3つ以上増えていれば,板書されたと判定する.また,下線や数式を判定するため,文字より十分に大きな領域が1つ以上増えた場合にも,板書されたと判定する.板書は5秒間隔で判定するが,ノイズや教員の影の影響を排除するため,3回以上連続して板書と判定されない場合には,板書の判定を取り消す.目視と比較した検出実験では,再現率,適合率ともに,70%前後の値が達成できた. 現在,前年度までに作成した集中度評価システムに板書判定プログラムを組む込む作業を行っている.これが終了したら,黒板を用いた授業に対して,プロジェクト他の授業と同様の集中度の判定実験を行う予定である.
|