平成22年度もワークショップに関するインタビュー、可視化システムLogCabinの試用、データ分析とふりかえり、システムの改善の手順をサイクリックに回すことによって研究を進めた。特に、探求型学習の実践をかかげたコミュニティスクールにおいて、週3回1時間半の授業を6週間にわたって実施するテーマ学習の授業を収録・分析することができた。 データ収録後および別に機会を設けた授業担当者へのインタビューにおいて、さまざまなメディアによって授業を収録することとシステムによる授業の可視化に基づいてふりかえることが授業や教育の方法改善に役立つと認められた。実践家自身がふりかえるためには収録されたデータすべてを見る必要はないこと、要点を関連づけながらふりかえることが望ましい機能であるという意見が得られた。また、ビデオによるふりかえりによって、収録したテーマ学習の展開がかなり変わったと認められるがそれに関する分析は今後の作業課題である。 その他特記すべき点は以下の通りである。 1. ラベリング機能。あらかじめ必要な、参加者、日付、展開、内容などのラベルを設定することが可能である。 2. 変換ツールの開発。メディア・オブジェクトのフォーマットはさまざまであり、特にビデオなどは数時間収録したデータは容量が大きすぎて取りあつかいが容易ではない場合が多い。システム上にデータがコピーされた時点で自動的に適切な形式に変換するツールを開発した。 3. トランスクリプションの道具としての可視化システム。言語学等のコーパス研究で用いられるようなトランスクリプションの機能を不要と考えていたが、実践家にとって有用なことがあるということで、トランスクリプション支援機能を実装した。
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