研究概要 |
本研究では,作業療法を目的とした障害者のための音楽教材の開発について提案する. 本システムでは,作曲をブロックの組み合わせで行うことができ,容易な操作でかっ達成感や満足感を得ることができる.作曲は,能動的活動であると同時に,作品を鑑賞するという受動的活動も併せ持っており,これまでにない作業療法のための教材を提供することができる.例えば,ブロックに,昔聞いたことのあるメロディを仕込んでおくことで,記憶をたどりながら曲を組み立てるといった教材も,容易に実現できる. 提案のシステムには,我々が開発してきた,基盤技術を用いる.また作曲システムには,佐野芳彦氏考案による「サウンドセル」を用いる.サウンドセルは,曲を構成する小節間にある規則を利用してグループ化した曲の部品(セル)の中から,自由にセルを選択できるようにし,それらを組み合わせ作曲するシステムである.グループごとに用意したセルの数の積だけ異なる曲を作ることができる. 本年度は,システムを実際の作業療法に使用し,介護士からの意見を聴取した.その結果,高齢者の認知症患者にとってブロックの操作性やシステムの操作性について,反応時間を早くする,ブロックのサイズを大きくする,ブロックごとの曲を簡単に聴けるようにする,音楽の分割数を少なくする,より容易な選曲にする等のさらなる改良が必要なことが分かった.また,この結果を基に新たなシステムのためのインターフェースボードに使用する回路を製作した.次年度は,以上の点を考慮してシステムの改良を行う予定である.
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