本研究は学習と情報資源(教材、図書、学術論文、Web情報)の相互作用に焦点をあてる。本来、思考と情報資源は連動しており、理想的なのは思考に適切な情報資源が追随してくれることである。本研究では、電子図書館システムと密に連動することで図書館の豊富な情報資源をオープンコースウェアと連携させ、学習者の思考に情報資源が追随する非定型学習環境の構築を目指す。 平成20年度は電子図書館の情報資源を対象にシステム統合基盤に関する研究を行った。電子図書館システムは単一のシステムとして利用されることが想定されているが、電子図書館システムだけでユーザの全ての情報要求を満たすことはできない。そのうえ、Web上には多様な情報資源があるため、電子図書館は情報資源のうちのーつにすぎなくなった。同じ書籍の情報を得ることを目的としても、電子図書館以外にも横断検索システム、オンライン書店や電子書籍サービスなど、複数のシステムを利用できる。しかしながら、複数のシステムを使い分けるのは煩雑であり、シームレスに利用することができない。このように、ユーザが情報を得る際に利用する情報資源は多様化しているのに対し、利用される情報資源システムは他のシステムとの同時利用を想定していないケースが多く、ズレが生じていると考えられる。 そこで本研究では、各情報資源への情報の入出力を統括し、ユーザが利用しやすい形に変換できるシステム構築基盤を提案した。具体的には、まず個別のシステムに分散した情報資源の各機能をプラグイン化し、機能間で流通されるデータをカプセル化する。そのうえで、自由に機能を組み合わせられるようにした。
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