研究課題
本研究では、経済学を実験的に学習できる環境構築を支援することと共に、経済学教育者および研究者の実験技能を向上し、経済学教育および研究に効果的な実験経済学の方法論に対する理解を深め、広く普及させることができる口頭実験の支援システムを開発する.ことを目的とする。経済実験の計画から実施、事後のデータ整理までの包括的なコンピュータシステム化の傾向にあるが、実験自体のシステム化はむしろ教育的効果を損なってしまううため、あえて口頭実験を活かすためのシステムを開発するものである。本年度は1財の取引をするプロトタイプシステムを教育現場で実地に用い、2財を取引する口頭実験の実施を阻害する要因を実験準備、実験中、事後整理の各段階に存在する問題を分析した。分析に際しては、口頭実験の実施経験者である神戸大学下村助教授と東京工業大学大和教授の協力の下で、実験の準備から実施、.実験データの整理・呈示に至る一連の過程を参与観察すると共に、過去の実験記録をレビューした。この結果、口頭実験の実施を阻害する要因は、予備調査での予測結果と同様に、実験準備、実験中、事後整理の各段階に存在し、それらは相互に関連し合っていることが明確となった。特に、経済学上の問題状況を把握させるために取り扱う財を2財とする場合には、実験の準備段階から、実施に至る各課程1財より遙かに複雑かつ緻密な実験計画と実験実施環境の構築が不可欠であることが明らかとなった。現在、これらの実験実施過程全体をデータフローモデルや論理化手法などのシステム分析技法を用いて図式化し、実験過程全体を俯職した問題の解決方法を検討中である。これらの点からコンピュータで処理あるいは利用者支援すべき事柄を抽出し、2財を対象とした口頭市場実験の支援システムのあり方を示すと共に、先のプロトタイプシステムを2財が扱える形に拡張するための方策を模索中である。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
SEFBIS Journal (Professional Journal of the Scientific and Educational Forum on Business Information Systems), GIKOF, Hungary (No.3)
ページ: 77-87
ページ: 52-62