研究概要 |
近年,学校教育では協同的な学びの重要性が強調され,学習目標の達成に向けた効果的な協同性の構築に関する実践的な知見の提供が求められている。本研究では,協同性の構築に影響を及ぼす要因を学習課題に関わる要因(課題様式)と学習者に関わる要因(学習者特性)とに整理して捉え,これらについて,学習環境デザインとしての観点からどのような条件のもとで協同的活動を設定すれば効果的な協同性の構築がなされるのかという問題を検討する。この目的のため,本年度は下記のような取り組みを実施した。 1.課題様式と学習者特性の内容分析 小・中学校教師を対象として,協同的な学習活動を取り入れた授業設計を主な課題とする質問紙調査とそれに伴うインタビュー調査,及び協同学習の課題等に関するグループインタビュー調査を実施した。それらの調査結果より,協同性の構築に影響する課題様式と学習者特性の具体的な内容の洗い出しと,授業で協同的活動を実施する際の目的や意義,留意点等の整理を行った。 2.学習における相互作用過程の分析手法の検討 効果的な協同性の構築がなされたかどうかを評価するためには,学習者の間あるいは学習者と教師との間で営まれる相互作用を学習の成立との関係から的確に分析する手法が不可欠である。そこで,協同的活動を取り入れた小学校授業の記録(ビデオ映像,音声データ,児童のワークシート等)を用いて,児童間並びに児童と教師との相互作用を分析するための手法の検討を行った。
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