研究概要 |
本研究は,小中学校等の授業場面で効果的な協同的学習を促すための学習環境デザインとして,学習課題に関わる要因(課題様式)と学習者に関わる要因(学習者特性)についてどのような条件が求められるかという問題を検討するものである。 研究の最終年度である本年度は,昨年度に引き続き協同性の構築を念頭においた具体的な学習環境のデザインとその評価に関する事例の収集・分析等を重ねつつ,効果的な協同的学習を導く学習環境デザインについて課題様式と学習者特性の観点から条件を整理し,理論的枠組みの精緻化をめざした。具体的な事項は次の通りである。 (1)以前に収集していた授業事例における協同的学習場面の分析:小学校の社会科・算数科・理科の授業における協同的学習場面を対象に,学習者間の相互作用,個々の学習者の認知面・情意面の変化等について分析を行った。 (2)新たな授業場面における学習環境のデザイン・実践・評価:中学校数学科の授業を対象に,思考・判断・表現力の効果的な育成をめざして協同的学習を組み込んだ学習環境をデザイン・実践し,学習者の目標達成並びに思考に関する態度面の変化等について評価を行った。 (3)協同性構築のための学習環境デザインに関する理論的枠組みの精緻化:効果的な協同的学習を促すための条件について課題様式と学習者特性の観点から整理を行い,研究の総括として,授業における協同性構築のための学習環境デザインのあり方についてまとめた。 なお,これらの成果の一部は日本教育工学会全国大会で発表した。
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