本年度は、平成21年度の研究で開発した新しいWebアプリケーションフレームワークWappenLiteのWebSocket対応とフロントエンド(ユーザインタフェース)側ライブラリの作成、Webコンテンツの作成とドキュメントの整備を行った。 従来のWappenLiteはバックエンド(Webサーバ)からフロントエンドへのPush型の通信にCometと呼ばれる技術を用いていたが、エラーが起こったときの処理の記述が煩雑で、フロントエンド側のモジュール化が難しいという欠点があった。しかし、バックエンド側で学習者の作成したプログラムを実行するため、Push型の通信は必要不可欠である。そこで、HTML5技術の一つであるWebSocketを用いて通信が行えるよう拡張を行った。また、教育者が容易にWappenLite用コンテンツを作成できるように、WappenLiteバックエンドと通信するためのJavaScript(HTML用)とActionScript(AdobeFlash用)によるライブラリを作成した。同時にこれらのライブラリの使用例を示すリファレンスも作成した。さらに高性能なフロントエンドの例として、Adobe Flashを用いて、Scratch風のブロック(タイル)によるプログラミングが可能なインタフェース、マルチタッチ(複数の指を同時に使う入力方式)を利用してグラフィックス作品を操作できるフロントエンド、バックエンド側に用意された構文解析プログラムと通信するフロントエンドなど、さまざまなバリエーションを試作した。 普及のため、既存のコンテンツを自分のWebサイトに配備するライトユーザ向け・フロントエンドに工夫を加える教育者向け・新しいプログラミング言語に対応するバックエンドを開発する開発者向けに分けてWappenLiteに関するドキュメントを整備した。
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