研究分担者 |
北澤 武 首都大学東京, 大学教育センター, 准教授 (80453033)
上野 淳 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70117696)
立花 宏 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (00163478)
加藤 浩 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (80332146)
福本 徹 国立教育政策研究所, 教育研究情報センター, 主任研究官 (70413903)
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研究概要 |
本研究では,情報リテラシーを信頼性や妥当性をもって評価できる方法を求めるために,「主観調査」,「客観テスト」,「実技テスト」という3つの評価方法の関係とその特徴を明らかにする. 上記で,「主観調査」とは,情報リテラシーの到達度の程度を,学生の主観で回答する意識調査アンケートを指す.次に,「客観テスト」は,それらリテラシーを正答が一義的に決まる客観的な問題で評価するテストを指す.最後に,「実技テスト」は,実際にコンピュータを操作させ,データを処理させる中で情報に関わる問題解決を行い,リテラシーを測るテストである.これら評価方法を用いて,学生の能力を測定し,3つの評価方法の関係を明らかにすると共に,それぞれどのような特徴があるのか議論する中で,評価方法の標準化に資する. 平成22年度は,情報リテラシーに関わる「主観調査」と「客観テスト」,「実技テスト」の間の相関関係を調べた.その結果,情報リテラシー全般に関わる「主観調査」と「実技テスト」の間には,有意な相関が見られなかったが(r=.337,n.s.),コンピュータリテラシーを測る「主観調査」の項目に焦点化して再分析を行ったところ有意な相関が見られた(r=.385,p<.05).これは「実技テスト」がコンピュータリテラシーを必要とする内容であったことを勘案すると,学習者の持っている操作活動を含んだコンピュータリテラシーを予測する指標として,「主観調査」は調査項目の内容を吟味すればある程度有効であることを示唆している.更に,永井(2007)によれば,「客観テスト」の項目を吟味すれば,「主観調査」と「客観テスト」の間にも弱い相関があることが分かっている. したがって,以上まとめると,「主観調査」を行えば,ある程度の情報リテラシーに関わる学生の知識・技能を把握することができるので,例えば「主観調査」のよさである簡便性や即時性が求められる場面では,その利用価値が高いと考えられる.
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