研究概要 |
本年度は,アダプティブ知的チュータを組み込んだ数学学習支援システムの構築を行った. まず,2007年度に運用していた数学学習支援システムの1変数の微分積分に関して,記述した答えが間違っていた場合,その答えから学生の理解度を推測し,理解度に合ったヒントを表示するアダプティブ知的チュータを確立し実装した,この結果については,私立大学情報教育協会で発表を行い,2次審査の結果,奨励賞をいただいた.また,Visual C#. NET 2003で開発したシステムが,Windows Vistaではうまく動かないとの報告を受けていたので,Visual C#. NET 2005, windows server 2008,ワークステーションを購入し,システムをVisual C#. NET 2005を用いてVistaでも動くように再構築したこの結果は,日本工学協会で発表を行った. 次に,このシステムを大学のPC教室で利用できるように構成しなおし,アダプティブ知的チュータシステムの運用試験を10月,11月,12月,1月と4回行いながら,学習者の実際の理解度と2点での評価値による学習者の入力から推測される理解度との差のデータを収集した.また,個々の被験者についての正解率や正解までの間違いの回数や入力した間違いの解答のデータも収集できるようにシステムを作りなおした.ここで収集したデータをもとに,教育工学会で発表を行った. 運用試験で収集したデータの分析を行い,教室内でのテストの点数から2点での評価値による学習者の理解度の推測がどれだけ正しいか,現在調べている.この精度が低い場合,被験者の間違いの箇所,間違えた人の多かった問題,正解までに間違えた回数等のデータについても分析を行い,分析結果を用いてさらなる精度の向上を目指す.
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